■企業研究でチェックしておきたい「ミッションやビジョンの浸透」
『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』によれば、ミッションやビジョンが浸透している会社は「偉大な企業」になれるといいます。
ミッションやビジョンの浸透は、よりよい企業を探すポイントのひとつとして重要です。
■なぜミッションが浸透しづらいのか?
といっても、理念はそもそもそう簡単に浸透するものではないので、浸透しないと悩んでいる経営者が多くてもおかしくはありません。
ミッションやビジョンが浸透しづらい理由は以下のようなことが挙げられます。
◆意味が曖昧・意味を理解しようとするモチベーションが弱い
ミッションやビジョンは「想い」なので、どうしても曖昧にはなってしまいます。
ミッションやビジョンを具体化したものは「行動指針」や「クレド」になっていることが多いです。ただ行動指針やクレドも抽象的になる傾向があります。
◆ミッションやビジョンを自分事化する機会がない
理念やミッション、ビジョンは論理的というよりは抽象的なもので、そういった抽象的なことよりも実際の業務に時間を使っている企業が多いはずです。
哲学的なことなど答えのない問題について考える時間は、企業に限らず個人レベルで見ても少ないでしょう。
◆評価基準が曖昧
明確な評価基準が作れないことも、ミッションの曖昧さ・抽象度からの原因といえます。
モチベーションの上がる達成基準を組織で作ることが解決のひとつの方法かもしれません。
■企業研究でミッション・ビジョンが浸透していない会社を判別する方法
◆説明会や企業コンテンツでミッションやビジョンの説明に力を入れているか?
説明会では、どんな内容の説明が多いでしょうか。ミッション・ステートメントへの言及は十分にあるでしょうか。
ミッション・ビジョン・バリューのような言葉が出てこなくても、経営理念や会社の目標が話に出ていればOKです。
逆に説明会に参加する際は、その企業のミッション・ビジョン・バリューをチェックしてから参加するようにしてください。自分の目標や目指す方向と全く反対なら説明会に行く前に考えたほうが良いです。
自分に合う会社はミッション・ビジョン・バリューに心を動かされるか、賛同できるかどうかで決めても良いでしょう。
◆社員間で企業の理念について話し合っているか?
「企業理念を浸透させるために、何か具体的な取組みやイベントを行っていますか?」といった、理念を考え話し合う時間を定期的に作っているか確認する質問をしてみると良いでしょう。
理念を大切にしている企業であれば、マメな取組みがあるはずです。
◆社長が社員に対して繰り返し理念を訴え続けているか?
ミッションやビジョンは経営者の想いがこめられたものですが、それに賛同し徹底的に理解しようとしている社員がどれだけいるでしょうか。
サイトにある社長のあいさつやインタビュー記事、もしお会いする機会があれば説明会等で理念的なお話をされているか、聞いて感じ取ってみてください。
◆社長と社員が同じ話をしているか?複数人の社員が共通言語を使っているか?
社長と社員、もしくは社員間でまったく反対の話をしていないか、もし明らかな矛盾に気が付いたら慎重になっていいかもしれません。
また、「マーケティング」や「販売戦略」といった言葉でも、社員がそれぞれ違う意味で使っている場合が多くあります。
同じ意味合いで使っているか確認できる機会があればチェックしてみましょう。
■まとめ
売上や知名度だけでは、その企業をトータルに知ることは難しいです。
就職したい企業が理念やミッション、ビジョンにどれくらい力を入れているのか、ひとつの観点として持っておくと良いでしょう。
参考:
・佐宗邦威『ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION』