【企業研究】ミッション、ビジョン、経営理念の違いは?
「ミッション」、「ビジョン」。学生の方にはあまり聞きなれない単語かもしれません。
しかも少々複雑なことに、企業によって「経営理念」など呼び方がさまざまで混乱しやすい概念でもあります。
それでも「ミッション」や「ビジョン」といった概念には、「わからない」では済まされない重要性があります。
今回は「ミッション」、「ビジョン」を中心に、各用語の違いを解説します。
自己分析や理解を進めるためにも、自分自身の「ミッション」「ビジョン」は何かと考えながら読んでみてください。
ミッションとは?
=「誰に対してどんな価値を提供するのか?」、「どうあり続けたいか?」
ミッションは企業のいわば背骨となるところです。
新事業や会社を立ち上げる際、まずはミッションから最優先で決めていきます。
途中でミッションを変更することはすなわち軸がブレることであり、カスタマーの信用を失うことになります。
ビジョンとは?
理想的でない現状から、将来どうあるべき・どうなるべきか。それがビジョンです。
少々大仰にたとえるなら、「同じ船に乗り、どの大陸を目指すか」ということになります。
ビジョンが漠然としていると、目指す方向と経営にブレが生じます。
江上隆夫『THE VISION』にあるように、経営があまりふるわない東芝の経営理念やビジョンは漠然としており、具体性が感じられません。
「vision」内 株式会社東芝のページ
ビジョンは企業だけでなく、事業ごと、また社員一人ひとりが明確にする価値があります。
◆具体性の感じられるミッション、ビジョンの例:
株式会社メタップス(Fintech事業などスタートアップ企業)
・経営理念「コンピュータにあらゆるデータを学習させて、人々の最適な意思決定を支える頭脳になる」
・ビジョン「テクノロジーでお金の在り方を変える」
「vision」内 株式会社メタップスのページ
・ミッション「関わる人と社会の幸せを実現することが、自分たちの幸せにつながる。」
・ビジョン「障害のない、社会をつくる」
「vision」内 株式会社LITALICOのページ
経営理念とは?
「経営理念」は理想像を描いているという点でビジョンと共通点があります。
ただ意味としてはミッションに近く、経営理念は変更することはありません。
経営理念とミッションを同じものとして捉えている企業もあれば、「ミッション」、「ビジョン」、「行動指針」(クレド)を包括した概念として「経営理念」と捉えている企業もあります。
その他「ミッション」「ビジョン」「経営理念」と関連する用語
◆クレド
=ビジョンに対してどう行動していくのか
クレドと後述の「行動指針」は、社員が唱和することを前提にするとより良いでしょう。
ミッションやビジョンより具体的で印象的な言葉を選ぶことがポイントです。
◆行動指針
≒クレド
クレドのことを「行動指針」や「バリュー」ということもあり、どの言葉を使うかは企業によって異なります。
個人がミッションやビジョンをもつ意義
企業が漠然としたミッションやビジョンをもっていると、経営や信用に影響があることは理解できたかと思います。
*関連記事:「企業研究でビジョンや経営理念を調べる必要がある理由」
では社員や個人がミッション・ビジョンといった目標をもつ意義は何でしょうか。
目的や変化なくその日・その時の気分で生活していても、命に別状はまったくありません。
昨日より労力の必要なことをやろうとすると、精神的には負荷がかかります。
しかし昨日と同じ変化のない毎日が続くと、それはそれで辛くなってきます。
つまり、一人ひとりがミッション・ビジョンをもつことには、仕事や生活に前向きに取り組み、それが毎日続けられるという意義があります。
まとめ
・ミッションとは?
「誰に対してどんな価値を提供するのか?」、「どうあり続けたいか?」
・ビジョンとは?
理想的な未来像
・経営理念とは?
創業者の想い
・社員や個人がミッション・ビジョンをもつと、毎日仕事や生活に前向きに取り組める
ミッション・ビジョン・経営理念の具体性から経営状態の良し悪しを推測すること。
個人の想いや目指していることを推測すること。
他社・他者との大きな差が出るところは想いであり、それを形にする「ミッション」や「ビジョン」は企業や個人の存在意義を保つために重要な概念です。