■D2Cブランドとは
D2C(DtoC)とはDirect to Consumerの略で、オンラインビジネスを中心とした販売を行うのが特徴的です。
アパレル・美容業界を中心にさかんになってきた領域です。
複数ユニコーン企業がD2Cから生まれています。
・Warby Parker(眼鏡)
・Casper(マットレス)
・hims(男性向け薬品)
・allbirds(靴)
・Away(スーツケース) など
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おなじみのサブスクリプションやシェアリングエコノミーもD2Cのビジネス戦略として含まれます。
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おもな消費者はミレニアム世代。実物を見なくても抵抗なく通販で服を買い、知らない人とチャットし、動画を好んで観る20代~30代くらいのデジタルネイティブです。
ただD2CはtoBでもなくtoCでもなくDtoCであり、モノ・コトいずれかではなく両方を扱います。
D2Cではリアル店舗をもたず通販が主でしたが、最近では小売や百貨店が衰退しているかわりに、D2Cのリアル店舗が進出しています。
一見メーカーと思いきや、ブランディングやマーケティングもハイレベルであり、メーカーというよりはいろいろな顔をもったテック×メーカー企業だといえます。
特に顧客をチームの一員、コミュニティの一員とみなし、一緒にブランドをつくっていっているところが面白い特徴です。
■D2Cブランドの例
D2Cブランドはアパレル・美容業界を中心に、食品やペット業界などにも拡がっています。
老舗ブランドがD2Cにシフトしている例もあります。
またクラフトビールの醸造所がD2Cへシフトしている動きもあります。
アフターコロナでさらにD2Cの動きは加速していくことが予想できます。
■D2Cブランドのミッション・ビジョンの例
ミッション「チョコレートを、新しくする。」
カカオ豆の選定から板チョコの整形まで全てを自社工房でおこなう「Bean to Bar」という製造方法が特徴。
店舗は少数ですが、ネット販売でどんどん成長しているD2Cブランドです。
会社HP
ミッション「地球に優しいサスティナブルなファッションを楽しみたい」
ジュエリーブランド。
月のような、お守りのような、そして優しくて強い女性のようなジュエリーを提供しています。
会社HP
眼鏡のD2C企業。高くて時間がかかる(そしてあまり楽しくない)眼鏡の購入も、Warby Parkerであれば5本無料で試着ができ、送料も無料。
SNSでは#warbyhometryon というハッシュタグで口コミが広がっています。
企業理念
商品起点ではなくビジョンドリブンなので、ビジョン・ミッションが比較的具体的であることが分かります。
また最後の3企業はキャッチコピーとしての理念を掲げておらず、長文で幾重にも重なったストーリーを編み上げていることに気付きます。
ビジョンドリブンだからわざわざキャッチにする必要がないことも考えられます。
顧客として見ていると、「分かりやすく、シンプルに」広告を打つのとは反対で、まるで小説を読むかのようなワクワク感を楽しむことができます。
■D2Cブランドがユーザーに受け入れられる理由
◆サポートされている安心感
保険など大きな買い物は別ですが、一般向けの商品は一時的なものが多く、商品が届いたら・購入したら終わりということがほぼほぼだと思います。
しかしD2Cブランドは購入前のサポートから購入後、さらに次の購入まで、徹底したサポートをしていることが特徴的です。
デジタルネイティブには、購入してもらうことをゴールとして広告などでメリットばかりを打ち出す従来の戦略はもう通用しません。
D2Cの「購入」以外のサポート、ライフスタイルをまるごとサポートしてもらっているという安心感が、顧客をより惹きつけています。
◆提供するデータが有意義に活用されている安心感
顧客とコミュニケーションをとるため、どんどんデータがたまっていきます。
そのデータをブランドやプロダクトの改善につなげることを明確にしているため、顧客は安心して・積極的に情報を提供してくれるという、好ましいサイクルができていきます。
◆顧客がブランドづくりに参加できるワクワク感
D2CではSNSの口コミから生まれた商品もあります。
また商品をシェアすると、一般の方でもアンバサダーとしてリワードが貰えるD2Cもあります。日本ではインフルエンサーやマイクロインフルエンサーがブランドやプロダクトのPRをすることが多いですが、どんな人でもアンバサダーとして活躍できます。
自分の投稿や提案がきちんと形として残る楽しさ、自分の声がフィードバックされ変化していく充実感が、ブランドに対する愛着をどんどん深めていきます。
■「D2C思考」
D2C化には以下のようなポイントがあります。
(以下引用)
Forbesjapan-D2C事業を成功に導く「6つの思考法」
1. ユニークなプロダクト
→商品自体が、背景ストーリーや製造過程も含めて、特徴的であること。
2. サプライチェーンが最適化されている
→製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの流れが最適化されていること。
3. ライフスタイルブランド
→商品のみでなく、商品を用いるシーンや体験をセットで提案すること。
4. データ・ドリブン
→商品改善やマーケティングなどあらゆる行為が、顧客のデータを根拠としてなされていること。
5. デジタルを使った直接的な対話
→顧客とコミュニティやSNSを用いて直接交流すること。
6. スタートアップ的経営
→いち早くPDCAを回し、勝負するタイミングにスタートアップ的なファイナンスをすること。
一見メーカー企業でも、マーケティングやデータの裏付けに強いなどさまざまな顔をもつ企業でもある理由がここからも分かります。
■D2Cでなくてもビジョンドリブンを
本当の顧客想いは理念ドリブン、ビジョンドリブンで実現します。
まずは仕事を選ぶ、仕事をつくる、何か面白いことを考えるとき、商品のメリットより先に、想いや理念を最重視してみると良いでしょう。
amazon:D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略