ミッション・ビジョンに加え、クレドを設定している企業もあります。
クレドとはいったい何でしょうか。
■クレドとは
クレドは日本語にすると「使徒信条」、英語では”Creed”にあたる言葉です。
自分の信仰を告白する意義をもちます。
神学の中では有名な言葉で、神学者テトリアヌスがいったとされる「不合理ゆえにわれ信ず」(Credo quia absurdum)の「われ信ず」の部分がラテン語の「クレド」にあたります。
たとえばプロテスタントのクレドはこちら。
我は天地の造り主(つくりぬし)、全能の父なる神を信ず。
我はその独り子(ひとりご)、我らの主(しゅ)、イエス・キリストを信ず。
主は聖霊によりてやどり、処女(おとめ)マリヤより生(うま)れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架(じゅうじか)につけられ、死にて葬られ、陰府(よみ)にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父なる神の右に座したまえり。かしこより来たりて生ける者と死にたる者とを審(さば)きたまわん。
我は聖霊を信ず。
聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、身体(からだ)のよみがえり、永遠(とこしえ)の生命(いのち)を信ず。
アーメン
プロテスタントを名乗るなら、この信条が守れていないといけません。それほど重要です。
しかしミッションやビジョンと同様、これを唱えればたちまち救われる、というわけではありません。
ちなみにクレドは西方正教会だけのもので、東方正教会にはクレドがありません。
そんなラテン語や神学の考え方からきている「クレド」ですが、企業の「クレド」としては、リッツカールトン、ジョンソンエンドジョンソンのクレドがよく例として挙げられます。
クレドを「行動指針」とする企業もありますが、意義的にはほぼ同じといって良いでしょう。
■なぜ企業でクレドを決めているのか?
◆社員が経営理念に対して具体的に動くための指針
何度も何度も繰り返さないと社員に浸透しない企業理念をより具体的にしたものがクレドです。
ただし理念と具体的行動は並んであるものではなく、理念があれば行動につながります。
ただクレドに沿った行動をとってもその根源にあるストーリーへの理解がなければ、一度きりの付け焼刃になる可能性が高いですし、実は本質とはズレた行動をとってしまうかもしれません。
やはりおおもとは経営理念です。
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■クレド、経営理念という約束
プロテスタントといえばまず「真面目」、「メソジスト(几帳面屋)」という印象があります。
また日本は多神教で、人間同士の約束に片方が契約解除すれば約束が守れなくてもOKな傾向があるともいえます。
欧米などの、一神教で「神との約束は絶対」というところは見習いたいところです。
とくに経営理念は顧客との大きな約束ごとです。
本当に実現できるか分からないスケールの大きいビジョンは別ですが、抽象的な目標は実現しやすい分人を惹きつけコミュニティの仲間を増やすことからは遠のきます。
明確なストーリーをもって約束・目的を果たそうとすること。
そのひとつの方法がクレドといって良いでしょう。